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2008年3月 9日 (日)

画面を離れよ、紙に出よう。――情報カード今再び―― (3)

■カードと筆記具

 PoICに高価な道具は必要ない。 極端な話、紙とペンと箱さえあればすぐにでも始められる。しかし使い勝手の悪すぎる道具だと、カードを書くのがだんだん億劫になってくる。それでいくらもしないうちにやめてしまうのでは面白くない。

 そこで最も基本的な道具であるカードと筆記具は、使い勝手のよいものを慎重に選びたい。しかしこれも万人にお勧めできるわけではなく、最終的には自分に合ったものを見つけ出すしかないのではあるが、参考までに私の使っているカードと筆記具を紹介したい。

カード
 まずカードは既に述べたとおりB6判の「京大型」である。京大型カードはコレクトライフコクヨの3社から発売されているが、それぞれ罫線や穴の有無によっていくつかの種類がある。私が現在使っているのは大学生協のキャンパスカード(厚口)であるが、これはコクヨの「シカ-13」(8.5ミリ罫)とほぼ同等品で、しかもコクヨよりずっと安い。表は青色の8ミリ罫、裏は5ミリ方眼である。どちらの面を使うかは好み次第だが、両面同時に使うのはやめた方がよいであろう。また左端に二つ穴があり、これを綴じるためのバインダーも各種ある。梅棹氏は「穴があるとカードの有効面積が減るし、書くときにもリングが邪魔になる」という理由で、穴を開けることを否定しているが(『知的生産の技術』pp.53)、私は講義や講演の記録を取るときなどは、穴あきカードをバインダーに綴じて持って行くのが便利だと思う。カードを次々とめくって書くには、バインダーの方が素早くめくれるし、手が滑ってバラバラに飛び散ったりする心配もないからである。それに穴のある部分はマージン罫になっていて、日付以外書き込まないことが多いから、実際には有効面積はさほど減らない。

 8.5ミリ罫では幅が狭すぎるという人は、ライフの京大型カードなら9.5ミリ罫である。ライフのものは梅棹氏オリジナルの京大型カードに最も近い設計のようで、穴も開いておらず、裏面には何も印刷されていない。インクの吸い込み具合は生協のものより若干良いように思う。これ以外のものは使ったことがないので、評価はしかねるが、最初はいろいろ試してみて、気に入ったものが見つかってから大量に買い込むのが無難であろう。

筆記具
 次に筆記具であるが、私は万年筆党である。筆圧をかけなくても書けるから、大量の書き物をしても疲れないし、書いた後のインクの微妙な濃淡やにじみは捨てがたい魅力がある。

 院生の頃にカード書きに使っていたのは、ロットリング社の「デザインペン」で、ペン先はFである。本来はその名の通りイラストやカリグラフィーに用いるための、つけペンのような長い柄を持つ万年筆で、この柄の中には予備のインクカートリッジを入れておけるようになっている。これは大学生協で見かけて、それほど高くもなかったので何となく買ったものであるが、しばらく使っているとすこぶる書き味がよくなってきて、お気に入りの一品となった。これもカードを書かなくなってからお蔵入りになっていたが、今回カードを復活させるに当たって、ペン先を流水で洗ってから一晩ぬるま湯につけておいたら、見事よみがえった。今は研究室で使っているが、自宅用にももう一本ほしくなり、調べてみたら「アートペン」と名を変えてまだ売られていたので、早速注文して手に入れた。おろし立てだと書き味がまだかたい感じがするが、そのうち程よくすり減って、書き味も良くなることであろう。カードはもともと罫の間隔が広いから、ペン先の太さはFかMあたりがちょうど良いと思う。

 万年筆を使うにはインクが必要である。ロットリングの万年筆には専用のインクカートリッジもあるが、「デザインペン」を使っていた頃には、モンブランのインクカートリッジを入れていた。こちらの方が専用インクより安いし、紙へのしみこみが早いので、カードを次々と書いて重ねていくには具合がよい。今回買った「アートペン」には専用カートリッジが5本おまけでついてきたので、それを入れてみたが、インクの乾きが非常に遅く、吸い取り紙がないと使いにくい。次に入れるインクはモンブランにした方が良さそうだ。本格派の方は専用のコンバーターもあるので、瓶入りインクを使うこともできる。

 なお「アートペン」を買うと、金属製のペンケースがついてくるので、万年筆のほか本に傍線を引くダーマトグラフなどを一緒に入れて持ち歩くのに便利である。

 ところで地元の文具店でも大学生協でも、この頃モンブランのインクカートリッジが店頭に出なくなった。並んでいるのは国内メーカーのものばかりである。不景気に加えてワープロの普及で、舶来万年筆を使う人も少なくなったのであろうか。(つづく)

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